ワキガの原因とニオイが発生するメカニズム

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ワキガ

ワキガのニオイに悩んでいませんか?
とくにお年頃の中高生になると「私、ワキガかも?」と気になるかた多いですよね。

ワキガの原因は汗だけではなく思春期という年齢や遺伝も関係しています。

気になる悩みを解決するために、ワキガの原因とニオイが発生するメカニズムを知ることからはじめましょう!

正しく対処することで悩みは必ず解決していけますよ。

ワキガとは

ワキガとは具体的にどういう症状でしょうか?

ワキガとは、脇の下から発生する悪臭のことをさします。
腋臭症えきしゅうしょう」「アポクリン臭汗症しゅうかんしょう」とよばれます。

ワキガは軽度・中度・重度と個人差があり、重度の場合には学校生活や社会生活の人間関係に支障をきたすこともあり、とてもデリケートなことがらです。

ニオイの種類は、酸っぱいニオイ、硫黄のようなニオイ、カレースパイスに似たニオイや生乾きの雑巾のようなニオイとさまざまです。

ワキガのニオイには自分で気づきにくいことも難点です。

逆にワキガだと自分で思っていても、実は気にしすぎで思い込んでいるケースがあります。
本当にワキガなのかセルフチェックしてみましょう。

関連:ワキガをセルフチェックで見分ける方法

ワキガの原因

ワキガの原因をさぐってみましょう。

人間の体には、汗を分泌するエクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類があり、2つの汗腺は分泌する汗の成分に違いがありそれぞれ働きも異なります。

このうちアポクリン汗腺から出る汗が、皮膚の細菌(常在菌)によって分解されるときにニオイが生じ、皮脂とあわさることで悪臭が発生します。この強いニオイがワキガです。

ワキガはアポクリン汗腺皮脂細菌(常在菌)の3つが関係しているのです。

参考文献:皮膚の基礎科学

参考書籍:腋臭症・多汗症治療実践マニュアル(全日本病院出版会)細川亙・坂井康夫編集 2012年発行

汗(アポクリン汗腺)

アポクリン汗腺について、すこし詳しくみていきましょう。

アポクリン汗腺は、脇、耳の中、乳首、陰部といった有毛部や特定の部位に分布します。

成分は水分のほかに糖質、鉄分、アンモニアなどを含み、ねばねばとした粘り気をもつことが特徴です。

アポクリン汗腺にはニオイをつくるフェロモン機能のはたらきがあるといわれており、性ホルモンの分泌が活発になる思春期の頃から発達します。

研究によると、ワキガは思春期に発生し20歳代がピークであると報告されています。平均発症年齢は「男性は18歳、女性が16歳」とされ、ちょうど中高生の頃からワキガが気になりはじめるのもうなづけますね。

参考書籍:形成外科診療ガイドライン7 体幹・四肢疾患(金原出版株式会社)日本形成外科学会他編 2015年発行

皮脂(皮脂腺)

皮脂腺は文字通り皮脂が出る汗腺で、手のひらと足の裏以外の全身に分布し中性脂肪・脂肪酸・コレステロールなどの脂質を分泌します。

皮膚の保湿作用や殺菌作用等の働きがあり、放置するとニオイの原因となります。

細菌(常在菌)

皮膚の表面や毛穴には、表皮ブドウ球菌やアクネ桿菌かんきん、黄色ブドウ球菌など約20種類、数百億個の常在菌が生息しています。

菌というとなんだか悪いイメージをもちますが、常在菌には皮膚を守る働きがあります。そのためバランスが崩れると肌トラブルもおこりやすくなります。増えすぎずても少なすぎてもいけません。適度なバランスが健康な肌には必要なのです。

ワキガの原因とニオイが発生するメカニズムは、アポクリン汗腺から分泌される汗と皮脂が混ざり、細菌(常在菌)によって分解されるときにニオイが発生すると解明されています。

汗腺のイラスト
画像参照:https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/nioi/bodyodor/

ワキガと多汗症の違い

多汗症は日常の生活に支障がでるほど多量の汗をかく疾患です。よく汗っかきという人でも、本人が気にしていない状態で生活に支障がなければ治療の必要はありません。

ワキガはアポクリン汗腺から出る汗が一因であることにたいし、多汗症はエクリン汗腺から出る汗です。手のひら、顔、頭、ワキの下や足裏など特定の場所に多量の汗をかく局所性多汗症と、全身に過度の汗をかく全身性多汗症とあります。

エクリン汗腺から出る汗は99%の水分と1%の塩分からなり、サラサラとして無臭という特徴をもっています。

ワキガと多汗症とが併発する場合もあり、エクリン汗腺からの汗が蒸発するときにワキガの臭いもいっしょに拡散させることにもなりかねません。

汗で湿った脇や洋服をそのままにしておくと細菌が繁殖し汗臭くなってしまいがちですので、きちんとふいて着替えるなどの工夫が必要ですね。

ワキガは遺伝するのか

ワキガは遺伝するのでしょうか?

研究によると片方の親がワキガ体質の場合は50%の確率であり、両親ともワキガ体質の場合は80%の確率で発症するとの報告があります。

しかし家族にワキガの人がいるからといって、必ずしも全員がワキガになるわけではありません。

日本人の10人に1人、約1割の人がワキガに悩んでいるといわれています。男女比は1:1でほぼ同じ比率です。病院の受診率は女性が多いという結果です。

参考:マンダム日本人男女の腋臭(ワキ臭)研究についての報告
参考書籍:形成外科診療ガイドライン7 体幹・四肢疾患(金原出版株式会社)日本形成外科学会他編 2015年発行

ワキガは遺伝することはあっても、隣りの人に感染する(うつる)ことはありません。ただし「ワキガ臭の染みついた服やタオルのニオイがほかの衣類に移ることはあります。

汗をかいてニオイのついた服は放置せずこまめに着替えましょう。

人種によって違うのか

ワキガは人種によって違いがあるとも報告されています。

日本人、韓国人、中国人の東アジア人はアポクリン腺の量が少ないため他の人種に比べて体臭体質が少なく、ヨーロッパ系の人種やアフリカ系人種はアポクリン腺の数も分泌する部位とも多いという結果がでています。

東アジア人種とヨーロッパ系人種・アフリカ系人種とでは遺伝子じたいに違いがあります。

参考文献:耳垢遺伝子のABCC11のヒト遺伝学的・医学的・人類学的研究

日本人は欧米人と比べて体臭体質をもつ割合が少ないのですが、集団の中でのニオイに敏感になり「自分はワキガではないだろうか?」と思い込んでしまい悩むひとが多いようです。

参考文献:現代日本人女性の腋臭特性とその考察

ワキガの対策

どうすればワキガの悩みを解決できるでしょうか?

汗をかく前の予防と汗をかいたあとの対応が対策のカギとなり、くわえて食事とストレスにも気をつけることでワキガは改善されます。

汗をかく前に予防

汗をかく前の効果的な予防方法を紹介します。

  1. 専用の洋服用スプレーでワキガのニオイをブロックする。
  2. 制汗スプレーやワキガ専用クリームを使用する。

特に、ワキガ臭に特化した洋服用スプレーは、汗をかいても洋服にワキガのニオイが染みつくのを防いでくれるので非常におすすめです。

関連:お出かけ前に効果的な3つのワキガ対策

汗をかいたらすぐ対応

汗をかいたらすぐに対応しましょう。

汗と皮脂が混ざり、皮膚の細菌(常在菌)が分解をはじめるとニオイが発生してしまいます。その前の対応がポイントです。

  1. ワキの下をアルコールやティッシュなどで拭く。
  2. こまめに洋服を着がえる。

面倒くさがらずに、こまめに清潔をキープしましょうね。

食べ物

ワキガは食べ物にも影響されます。

肉食や動物性脂肪がたっぷり含まれている食品は、ニオイの原因となるアポクリン汗腺を刺激します。

ファーストフードや加工食品など油っぽい食品をひかえ、バランスのよい和食中心の食事を心がけましょう。

また極端なダイエットもワキガや体臭の原因となります。

ストレス

人はストレスを感じると汗をかきやすくなります。
ストレスはワキガのニオイを広げる原因にもなりますので、ストレスの解消と早寝早起き、適度な運動など正しい生活習慣を心がけましょう。

手術

ワキガは医療的に「腋臭症えきしゅうしょう」と呼ばれ、手術による治療が可能です。

保険適応については、「悪臭はなはだしく他人の就業に支障を生じる事実が明らかであって、客観的に医療を加うべき必要がある場合は給付して差し支えない。軽度のものは給付外」と保険に記載されています。

形成外科、美容外科、皮膚科で医師の受診で手術の有無が診断されます。

治療内容は皮膚切除や剪除(せんじょ)といった自己負担の少ない手術から、保険適応がされないクアドラカット法、超音波法、そしてメスを使わないミラドライ、ボツリヌス製剤注射などがあります。

ただし、手術は術後の傷跡や、取り残しによる再発といったデメリットもあることを理解しましょう。

まとめ

ワキガはアポクリン汗腺が発達する思春期頃に発症します。

アポクリン汗腺にはニオイを作るフェロモン機能がありますが、分泌される汗と皮脂が細菌(常在菌)に分解されることでニオイが発生し、ワキガが発生します。

ワキガを改善するためには、汗をかく前の予防と汗をかいたときにすぐ対応することがポイントです。

効果的なワキガ対策をご紹介します。予防と対応で悩みを解決していきましょう!

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